ダニー・ハサウェイA〜「Live/ライヴ」
        『You've Got A Friend/きみの友達』



ダニー・ハサウェイと言ったら、名盤「Live/ライヴ」である。
アトコ・レコードからリリースされたのが1972年だから、
現在のようにCDではなく、LPレコードに収められていた。
私のようにCDで初めてこのアルバムを聴いた人は
8曲全てが同一のライヴ会場で演奏されたものと思いがちだが、
実際は二つのライヴ会場で演奏された音源を一つにまとめたものだ。
 
当時リリースされたレコードはA面とB面に分かれていて
A面には1971年8月28・29日に
ロサンゼルスのトルバドールで演奏された中から4曲を、
そしてB面には1971年10月27〜29日にかけて
ニューヨークのビター・エンドで行われたステージの中から
4曲を取り上げて収められた。
ダニーは1945年生まれなので、このライヴを行った時は26歳である。
若きソウル・シンガーの才能はこのライヴであますところなく発揮され、
多くのリスナーが絶賛する不朽の名盤となった。
それと同時にこのアルバムが成功を収めたのは、
優れたテクニックと卓越した感性を持った
共演者がいたからだということも忘れてはいけない。
 
「Live/ライヴ」の1曲目は『What's Going On/愛のゆくえ』である。
イントロはダニーが弾くエレクトリック・ピアノで始まるのだが、
マーヴィン・ゲイのオリジナル版と比べても決して引けを取らない
見事な出来栄えとなっている。
通常、これだけ偉大な曲になると
リスナーの耳にオリジナルがこびりついているものだが、
全く別の曲を聴いているかのように違和感なく楽しむことができる。
それはひとえにダニーのアーティスティックな感性と
アレンジ能力の高さに起因するだろう。
 
マーヴィンの『ホワッツ・ゴーイン・オン』
軽快に響くボンゴやコンガ、美しいストリングスの音色、
そして幾重にも重なる洗練されたコーラスが特徴だった。
バックで一番自己主張していたのが、
何と言ってもジェームス・ジェマーソンの
グルーヴィーかつ華麗なベースラインだ。
マーヴィンの甘い声とスピリチュアルな歌い方、覚えやすいメロディ、
厚みのある音や心地よいリズムなど、
どれをとっても全てがパーフェクトで何度聴いても感動できる。
 
この曲に携わったミュージシャンは、
コーラスだけでマーヴィンを入れて9人、
ヴァイオリンやビオラ、チェロ、ハープ、フルート、トランペットなど
デトロイト・シンフォニー・オーケストラのメンバーが27人、
それにギターやベース、ボンゴやドラム、サックスなどを担当した
ファンク・ブラザーズの面々を合わせると総勢50人近くになる。
 
ダニーはマーヴィンの最高傑作と言われるこの曲をライヴで演奏した。
オリジナルはスタジオ録音だったため、
声や楽器の音をいくらでも重ねることができたが、
ライヴではそれが不可能だ。
その代わり、アーティスト一人一人の感性やその場のフィーリング、
観客とのコール&レスポンス次第ではオリジナルと同じか
もしくはそれ以上のインパクトをリスナーに与えることができる。
ダニーはライヴのノリを重視し、自ら弾くエレピの音に
フィル・アップチャーチのギターを上手く絡ませて
第二のオリジナルとも言うべき曲に仕立て上げた。
 
ダニーの『ホワッツ・ゴーイン・オン』に感じるものは、
自由でジャジーなフィーリングである。
私は今まで、オリジナルとの聴き比べをしてこなかったが、
ここにきて初めて何がどう違うか知りたくなり、
歌詞とコードを照らし合わせながら相違点を探ってみた。
 
この曲のキーはEで、間奏部分でAに転調してそれが12小節続く。
その間、AmとBという二つのコードしか使われていない。
そして「Mother mother」という歌詞からEに戻る。
エンディングは間奏と同じコード・パターンに戻って二度繰り返し、
フェイド・アウトする。
 
ダニーの場合、キーは同じだがメロディをフェイクしながら(崩しながら)
エレピを弾くように歌っている。
ジャズで多用されるシンコペーション(強調する拍を前後にずらす)や
アクセントを数多く用い、オリジナルにはないコードをいくつも使っている。
だから斬新でジャジーなフィーリングをもった
『ホワッツ・ゴーイン・オン』に聞こえるのだろう。
例えば間奏の後に入る「Mother mother」のコードはEmaj7でC♯m7と続くが、
ダニーはメロディ・ラインを変えて歌い
Emaj7 とC♯m7の間にG♯7というコードをはさんでいる。
これがオリジナルとは違ったフィーリングを生み出し、
リスナーの耳に心地よく響くのである。
 
他に印象に残る点は、ウィリー・ウィークスのベース・ラインだ。
ジェームス・ジェマーソンの影響を受けている事は
演奏を聴けばすぐわかるが、
ウィリーのベースは、よりパワフルなドライヴ感にあふれている。
 
2曲目は『The Ghetto/ゲットー』である。
これは1970年の春、
アトランティックから出されたダニーのデビュー・シングルで、
既に録音してあったアルバム
「Everything is Evrything/新しきソウルの光と道」(1970年7月リリース)
からシングル・カットされたもの。
ダニーとリロイ・ハトソンの共作である。
A面が『The Ghetto Pt.1/ゲットー パート1』
B面が『The Ghetto Pt.2/ゲットー パート2』となっていた。
アフロ・キューバンと呼ばれるラテン音楽のリズムが特徴だ。
 
ライヴではスタジオ・ヴァージョンよりもテンポが速く12分余り演奏されている。
ダニーが
「さぁ ゲットーについて語ろう! 用意はいいかい?」と観衆に呼びかけ
「みんな手拍子できる?」「女性の皆さん、僕の後について歌ってくれる?」
「そうだ すごくいいよ!」「男性も僕の後からついてきて」と促しながら
観客と一体になって、
あたかもゲットーの街角で演奏されているかのようなノリで曲が進行していた。
 
途中でダニーが「全ての人に神様のご加護を!」
「さぁ コンガに注目して!イリノイ州シカゴの出身のアール・デュルーアン!」
と紹介してコンガの音が大きくなる。
そのうちコンガとドラムだけになると、もろ「アフリカ」という感じで、
延々と繰り返される「リズム」には躍動感や力強い生命力がみなぎっていた。
貧困や不安など「ゲットー」には負のイメージが付きまとうが、
そこに住む人間には大きな可能性やパワーが潜んでいることを
この曲で表現したかったのだろう。
 
このライヴでドラムを叩いているのはフレッド・ホワイトだが、
何と彼は当時まだ16歳の少年だった。
その歳で一流のミュージシャンと肩を並べて演奏するなんて
日本ではあり得ない話だが、彼の血筋と恵まれた環境を知れば納得できる。
フレッドの14歳年上の兄は元々セッション・ドラマーで、
後にアメリカの伝説となったファンク・バンド、
Earth, Wind & Fire/アース・ウィンド・アンド・ファイアーのシンガーであり
ソングライター、アレンジャーでもあるモーリス・ホワイトだからだ。
4歳上の兄は同バンドのベーシスト、ヴァーダイン・ホワイトである。
 
フレッドは生まれた時から才能あふれる兄達の影響を受けてきた。
そして彼は13歳の時からプロのドラマーとして仕事をするようになり、
1975年(20歳)から12年間、EW&Fのドラマーとして活躍する。
それ以前に共演したミュージシャンはダニー・ハサウェイの他に
ドリフターズ、ジャッキー・ウィルソン、アル・グリーン、ボビー・ウーマック、
ジャクソン5などビッグなアーティストばかりだった。
 
ダニー・ハサウェイ・フリークのJさんによると
この映像はロバータ・フラックとのドキュメンタリー番組
「ダブル・エクスポウジャー」の中で放送されたものらしく、
1972年にUCLAで行われたライヴ・ショーだという。
コンガ・ドラムスはアール・デュルーアンで、
あどけない顔をしたフレッド・ホワイトがドラムを叩いている。
ベースはもちろんウィリー・ウィークスだ。
演奏しているダニーの表情が声と同じく神秘的で
常人とは違う次元にいて音を捉えている感じがする。
 
3曲目はアール・デュルーアンが作った『Hey, Girl/ヘイ・ガール』である。
私は甘い夢を見させてくれるこのラヴ・ソングが大好きだ。
一目惚れから始まって、
やがて二人は結婚しベビーが誕生するというストーリー仕立ての歌詞で、
男性はいつまでも彼女の事を「ガール」と呼んで優しく愛してくれる。
「こんな詩を書くアールってロマンチックで優しい人なんだ・・・」
と好感を持った。
歌詞を日本語に訳すと、少々大げさで抵抗があるかもしれないが
英語だとなぜかすんなり受け入れられる。
それをダニーがさらっと歌っているのもいい。
 
あまりの感動で言葉が見当たらない。 
「Live/ライヴ」に収録されている中で最高の盛りあがりを見せる曲である。
これはキャロル・キングによって作られ、
1971年にリリースされた彼女のアルバム「タペストリー」に収録された。
ダニーはこの曲をロバータ・フラックとデュエットしてカヴァーし、
1971年の5月にシングル盤でリリースした。
ジェームス・テイラーもカヴァーして同時期にリリースしている。
ジェームスのヴァージョンは全米で1位になり、
デュエット・ヴァージョンは全米で29位にまでのぼりつめ、
R&B部門では8位にランクインした。
 
だから、トルバドールに詰めかけたダニー・ファンの観衆は
この曲のイントロが始まった時に、「キャー!」と凄い勢いで叫んだのだ。
この歓声でダニーも解き放たれた気分になり、
リラックスした雰囲気で歌い始める。
そして観衆と一緒に合唱しながらクライマックスへ。
まるでライヴハウスがゴスペル教会に早変わりしたようで
ステージと観客席の一体感が素晴らしかった。
その時のダニーや観客の様子を想像すればするほど
熱いものがグッと込み上げてくる。
私としてはこのゆったりした間のあるテンポが大好きで
心地よいグルーヴを感じる。
 
ダニーのそれとは受ける印象が異なった。
「辛い時には私がいる。いつでも私の名前を呼んで」と
キャロルは穏やかだが毅然とした声のトーンで歌う。
彼女の歌を聴いていると頼もしい同性の友達ができたようで心強い。
しかし同じ歌詞をダニーが歌うと、リラックス感が強くなり甘えたくなる。
いずれにしてもこんな友達がいたら人生は充実するにちがいない。
 
ライヴ会場がロスからニューヨークのビター・エンド・クラブに移り、
リード・ギターもフィル・アップチャーチからコーネル・デュプリーに代わる。
アルバムの裏ジャケットに使用されている写真はここで撮ったもの。
またもやタイトルに「ゲットー」の文字が・・・。
作者はアール・デュルーアンとエドワード・ハワードである。
 
この曲はダニーがサウンド・トラックを手掛けた黒人映画
「カムバック・チャールストン・ブルー/ハーレム愚連隊」(1972)
の中で使われた。
歌詞は非常にヘヴィだが、
「希望を捨てるな」とゲットーの少年達に一生懸命諭す内容だ。
ゲットーには父親のモデルになるような大人がいない。
多くの男性が無責任な行動を取り、
たとえ家庭を持っても蒸発したり浮気をして妻や子どもを置き去りにする。
この歌に登場する父親のように盗みを働いて刑務所行きになったり
殺されたりする者もたくさんいる。
アル中やヤク漬けになっている者も少なくない。
だから少年は誰を模範としていいかわからないのだ。
 
そこでダニーはこの曲を通して以下のようにゲットーの若者に呼びかけた。
「君は悲惨で辛い目に遭ってきた 生きて行くには酷い場所だ
状況は変わらないだろう 君はまだ若い ゴールはすぐそこにあると思うな
少年よ 自分に関心を持ってくれ 君が大人になると
自分で物事を変えることができる 自分を信じてくれ
状況がよくなるように頑張るんだ 次第に事が上手くまわっていく
全てが上手くいくようになるんだ その日を信じてくれ
全ては君にかかっている」
 
しかし、この歌から40年経った今でも
残念ながらゲットーの状況は変わっていない。
あるゲットー地区に住む友人が、
「ラッパーになっていかにゲットーが悲惨か世界中の人に訴えたい」
と言っていたことを思い出す。
 
この曲はダニーとグレン・ワッツ共作のスローなブルース・ナンバーで、
昔恋仲だった二人がある日再会して会話をするという設定だ。
 
「僕たちは同じ価値観を持っている まだ友達なんだ」と言ってはいるが、
恋が終わってしまった二人の逢瀬は物悲しい。
寂しげなダニーの低音と哀愁漂うコーネル・デュプリーのギターがマッチして、
心にジワジワとブルースが染み込んでくる。
コーネル・デュプリーは元々アトランティックのスタジオ・バンドだった
キング・カーティス・バンドのメンバーで、
その後多くのミュージシャンとセッションを重ねて、
「スタッフ」のメンバーとしても活躍した。
彼のギター・フレーズやエフェクターをかけないサウンドは
非常に個性的で含蓄があり、アジがあって大好きだ。
 
これは言わずと知れたジョン・レノンの曲で
1971年9月にリリースされたアルバム「イマジン」のA面に収録されていた。
ダニーがこの曲をビター・エンドでカヴァーしたのが翌月の10月。
レオン・ラッセルの『ソング・フォー・ユー』、キャロル・キングの『きみの友達』
そしてジョン・レノンの『ジェラス・ガイ』といい、
ダニーは白人シンガー・ソング・ライターの曲を好んでカヴァーし、
ライヴで披露した。
他にポール・マッカートニーの『Yesterday/イエスタデイ』も
ライヴで演奏している。 <※記事文末の追記をご覧ください>
これは当時の黒人アーティストには見られないない傾向で、
ダニーは人種にこだわりなく好きな曲に耳を傾け、
自分に合ったスタイルにアレンジして堂々と演奏していたのだ。
 
私の友人男性で『ジェラス・ガイ』が大好きだと言っている人が何人もいる。
ナイーヴでピュアな男の気持ちをジョンが代弁してくれているからだろう。
きっとダニーもこの曲を聴いて共感したからこそ、
すぐにライヴで取り上げたのだと思う。
歌詞は、嫉妬心から自制心を失い、
好きな女性を傷つけてしまうというもので、
ジョンが歌の中で「僕は嫉妬深い男なんだ 君を傷つけるつもりはなかった
でも他の男が君を見つめるのがやりきれない」と告白している。
ジョンが真情を吐露するかのように切々と歌う『ジェラス・ガイ』も最高だが、
ダニー・ヴァージョンもリズムが斬新で、オリジナルと同じぐらい好きだ。

そしてアルバムのラストは
「エヴリシング・イズ・エヴリシング」を何と訳すのか長らく疑問に思っていたが
先日観た映画「ドラムライン」(2002)の中で、主役のニック・キャノンが
母親にかけた電話の中でまさにこの言葉を使っていた。
字幕を見たら「もうバリバリにイケてる」と訳されていて
それを聞いた母親が電話の向こうで「あんたそれどういう意味?」
と聞き返している。
それに対して息子は「分かるだろ。最高ってことだよ」と応答しているので
どうもこの言葉は若者が使うスラングらしい。
 
タイトル通り、この曲は最高にイケてる。
「さぁ いくよ! みんなで手を叩いて足を踏みならそう!」
とダニーの呼びかけで始まり、それからリズム主体の楽器演奏が13分も続く。
シンプルな曲だがアーティスト全員の才能が際立っているため
そこに究極の「グルーヴ」が生み出されて、演奏者、観客共にトランス状態に。
 
ダニーがリズムに合わせながら
「4つのムーヴメント・ショウをやるよ」と説明し、
「ファースト・ムーヴメント」と言いながらダニーのエレピがソロをとる。
ここでの彼の演奏は、類まれなる才能が歌や声質にとどまらないことを、
十二分に感じさせるものだ。
「セカンド・ムーヴメント」では、
「ワシントンDC出身のギタリスト 
僕の右側にいます マイク・ハワード さぁ マイク!」と
次にソロをとるギタリストを紹介し、
「サード・ムーヴメント」では
「テキサスのフォートワース出身 ニューヨークにいる僕の友達
いいヤツなんだ コーネル・デュプリー!」と紹介した。
ひとしきりデュプリーが円熟した渋いギター・ソロを弾くと
ダニーは「最後のムーヴメント」と言ってから
「ノースカロライナ出身・・・最高のベース・プレイヤー ウィリー・ウィークス!」
と紹介し、最後の見せ場となる4分余りの長いベース・ソロが始まる。
 
粋でグルーヴィーなウィリーのベース・ソロは何度聴いてもため息もので、
アマ・プロ問わず全てのベーシストがお手本にするような代物だ。
ウィリーは17歳でベースをマスターし、19歳の時は既にプロのベーシストとして
仕事をしていたというから、彼も傑出した才能を持つ天才の一人である。
この時彼は24歳で、ダニーから厚い信頼を得てしばらく彼のバックを務めた。
以後ウィリー・ウィークスはセッション・ベーシストとして引っ張り凧になり
デヴィッド・ボウイやエリック・クラプトン、アレサ・フランクリン、
ビリー・ジョエル、ロッド・スチュアート、エルトン・ジョン、
ローリング・ストーンズ、スティーヴィー・ワンダー、
ドゥービィー・ブラザーズなど
数多くのビッグ・ネームと共演することになった。
 
このアルバムがリリースされてからまもなく、ポピュラー音楽界では
1950年代に誕生したコンピューター音楽やシンセサイザー(音響合成機器)が
積極的に取りいれられるようになり、    
ドラムやベースの音をコンピューターに打ち込んで(サンプリング)
無機質で均等なリズムを強調したテクノ・ミュージックが流行るようになる。
ダンス・ミュージックにもコンピューターが導入されて
正確で揺らぎのないリズムの繰り返しに、
人は快感を覚えるようになっていった。
 
そして21世紀を迎えて10年経った現在、
大衆音楽はどのような変化を遂げたのだろうか?
楽器が弾けない人でもパソコンと電子機器をつなげて演奏する事が可能な
コンピューター・ミュージックが主流になり
打ち込みによる自動演奏が当たり前のように行われている。
こうした音楽を幼い頃から聴いていると、
人間の耳が器械の作り出した音に慣れてしまい、心まで無機質化して、
生演奏の素晴らしさに感動できなくなってしまう日が
来るような気がしてならない。
 
約40年前の音源であるダニー・ハサウェイの「Live/ライヴ」には
デジタルではけっして体験することのできない深い感動がある。
そして何よりも彼らの演奏には人間の温もりやパワーがみなぎっている。
その日、その場所で、同じ空間を共有したアーティスト達と観客が一体となり、
互いの息遣いを感じ取りながら作用しあい、反応しあって、
二度と再現することができない臨場感がそこに生まれるからだ。
私は、生身の人間が作り出す音や彼らの息の合った演奏に毎回感動し、
「ここが最高!」という箇所を新たに発見するにつけ、
心が躍って気分がハイになる。
どんなに器械が進歩しても、血の通った人間が作り出す微妙なニュアンスを
打ち込みで表現する事は永遠に不可能なのだ。
 
 
 
『You've Got A Friend/きみの友達』(1971)
 
                          Written by Carole King
 
 
When you're down and troubled
And you need some loving care
And nothing, nothing is going right
 
あなたが落ち込んで悩んでいる時
優しく気遣ってもらいたい時
何もかも上手くいかない時
 
Close your eyes and think of me
And soon i will be there
To brighten up even your darkest night

目を閉じて私のことをじっと考えて
そうすればすぐにあなたの元へ飛んで行く
真っ暗な夜でさえ明るくするために
 
You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again
 
あなたは私の名前を呼べばいいの
そうすれば私はどこにいようと
走ってまたあなたに会いに行く
 
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend

冬 春 夏 秋 
あなたは私の名前を呼ぶだけでいい
そうすれば あなたの元へ飛んで行く
あなたには友達がいるのよ
 
※If the sky above you
Grows dark and full of clouds
And that old north wind begins to blow
Keep your head together
And call my name out loud
Soon you'll hear me knocking at your door

※空が暗くなって厚い雲が垂れこめ 
あのいつもの北風が吹き始めたら
気持ちをしっかり集中させて
私の名前を大きな声で呼びなさい
そうすればすぐに私はあなたの部屋のドアをノックするわ
 
You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again
 
あなたは私の名前を呼べばいいの
そうすれば私はどこにいようと
走ってまたあなたに会いに行く
 
Winter, spring, summer or fall 
All you have to do is call
※And I'll be there, yes I will
Ain't it good to know that you've got a friend

 
冬 春 夏 秋 
私の名前を呼ぶだけでいい
そうすれば 私はあなたの元へ飛んで行く
※ええきっとそうするわ
友達がいるってわかるのはいいことよね

When people can be so cold
They'll hurt you and desert you
And take your soul if you let them
Oh, but don't you let them
  
人は冷酷になると
あなたを傷つけて見捨てようとするわ
そしてあなたから魂を奪おうとするかもしれない
あぁ、でもそんなことをさせちゃだめ
 
You just call out my name
And you know wherever I am
I'll come running to see you again

あなたは私の名前を呼べばいいの
そうすれば私はどこにいようと
走ってまたあなたに会いに行く
あなたには友達がいるのよ
 
Winter, spring, summer or fall
All you have to do is call
And I'll be there
You've got a friend

 
冬 春 夏 秋
あなたは私の名前を呼ぶだけでいい
そうすれば私はあなたの元へ飛んで行く
あなたには友達がいるのよ
 
 
対訳:Kaori
 
 
注:オリジナル(キャロル・キング)の歌詞を添付しました。
ダニーはライヴで※〜※の部分までを省略して歌っています。
 
<2010・7・3>


※ダニー・ハサウェイのライヴに日本人がいた!?

先日、当サイト宛てにKさんという方が
嬉しいメッセージを送って下さいました。
内容は、ダニー・ハサウェイがライヴで歌った
『Yesterday/イエスタデイ』にまつわるものです。

『Yesterday』はビートルズが1965年8月にイギリスでリリースした
5枚目の公式アルバム「Help/4人はアイドル」のB面に収録されており、
その1か月後、アメリカでシングル盤としてリリースされました。
その結果、ビルボードチャートで4週連続1位をキープし、
誰もが知っている名曲中の名曲となったのです。

この曲をダニーは1971年、ロスのトルバドールで行った
"伝説のライヴ"で歌いました。
オリジナルとは違う重厚なニュアンスで・・・。

ここでKさんからいただいたメールに話を戻します。
ダニー・ハサウェイが大好きなKさんは、
2004年にリリースされたダニーのライヴ・アルバム
「These Songs For You Live」に収録されているこの曲を
通勤途中の満員電車の中、ヘッドホンで聴いていたそうです。
その時、ある「発見」をされました。

この「発見」・・・日本のダニー・ハサウェイ・ファンにとっては
重大なニュースなんです!!
なぜならあのライヴを生で体験した日本人がいたことが
判明したからです。
(断定的に書きましたが、私はそのように確信しています。)

Kさんによると、ダニーによって『Yesterday』の紹介が始まり、
カウントが入って演奏が始まる直前、
『あー知ってるこれ!』という少年が発しているような日本語を
シーンと静まり返ったぎゅうぎゅう詰めの電車の中で
偶然聞きとったそうです。
それ以来ヘッドホンをしている街中で何度か同じ体験をされ
「もしや?」と疑い始め、英語のわかる友人にも聞いてもらった結果、
「これは英語ではなく関西弁のように聞こえる」と言われたらしいです。

それでKさんは
「1971年のロス、日本人があのトルバドールの現場にいた?
あの『WHAT'S GOING ON』のグルーブや
『YOU'VE GOT A FRIEND』の大合唱を生で体感している
関西人がいるのであれば、ぜひご本人にお会いして
あの日の実体験を直接お聞きしてみたい!!」
と切望されて
情報収集の為、私にメールを下さいました。

私もダニーのファンですが、この件に関しては全く知らず
メールをいただいてすぐに『Yesterday』を聴いたのですが、
恥ずかしながら最初はピンとこなくて何回か繰り返し聞きました。
というのもその箇所は前々から
「黒人女性が何か言ってるんだわ」と思い込んでいたからです。

私では埒があかないと思い、
その箇所を耳がいい家族に聞いてもらったら、
「これは確かに日本語だよ! 『あー知ってるこれ!』って言ってる。
あの場所に日本人がいたんだね・・・」といたく感激していたので
「何で私はこんなに耳が悪いの?」とガックリきて
もう一度その箇所を注意深く聞きました。
そうしたら私にもはっきり聞こえたのです。
『あー知ってるこれ!』という日本語が・・・。
多分これは日本人女性が発したものだと思います。
語気が強いので、ハキハキした女性かもしれません。

ダニー・ハサウェイのライヴを生で聴きたかったと
思っていらっしゃるリスナーの方々へ。
42年前のあの日にタイム・スリップして
『Yesterday』を再度チェックしてみてください!
ダニーが、「ある曲を皆さんにお届けします。
それはビートルズによって書かれた美しい曲。
タイトルは『Yesterday』です・・・」
と言った後にカウントが「one two....」と入る15〜16秒目あたりです。

ダニーの「Live」を聴く度に
「あ〜私もこの場にいたかった」と何度思ったことでしょう。
ですからKさんのお気持ちはすごくわかります。
この件に関して情報をお持ちの方は、是非サイトにご連絡ください。
トップページの一番下にある「Please send me your messages!」下の
花と白い鳥の画像をクリックしてくだされば、メッセージ欄が出てきます。
よろしくお願い致します。

<2013・3・2>








Donny Hathaway/ダニー・ハサウェイ  「Live/ライヴ」







































Phil Upchurch/フィル・アップチャーチ








































































































































「Come Bcak Charleston Blue/ハーレム愚連隊」



























Cornell Dupree/コーネル・デュプリー























































Willie Weeks/ウィリー・ウィークス