エルヴィスとポール〜「声


人の「声」に関心を持ってしまうのは、
小学生の頃よく見たアニメの影響かもしれません。
女性の声優さんでも少年の声を出したり、
また微妙に声質を変えて何役もこなしたりします。
子供心に素晴らしい才能だと思いながら、アニメを見ていました。
男女共にお気に入りの声優さんがいて、
今でもその名前がTVの画面に登場するとうれしくなってしまいます。

歌手で言うならば、
エルヴィスを知る前はポール・マッカートニーの声質が好きでした。
アコースティック・ギターを抱えて歌った時にとても映える声。
温かい響きがあって、素直で優しい声。
「All My Loving」や「Yesterday 」「Here, There And Everywhere」などは
ポールの声質が活かされていて、とても好きな曲です。

初めてエルヴィスの声を聴いた時、
ポールの声とはまた違う良さを感じました。
エルヴィスが言葉をメロディーにのせると、
あまりにも扇情的で、つい耳を傾けてしまいます。
バラードで出す高音域はせつなくメランコリーで叙情的。
低音部分は深みのあるビブラートが胸に響き、
魅力的な男らしさを感じずにはいられません。
ビートをきかせるとグルーヴ感が出て黒人のリズムが醸し出され、
ゴスペル調の曲を歌えば、声に温かみや威厳が増して、
重厚感のある雰囲気が生まれます。

ジョン・レノンはエルヴィスの大ファンだったお母さん
(飼っていた猫の名前はエルヴィス)から「ハートブレイク・ホテル」を聴かされて
大きな衝撃を受け、やがてバンドを結成しました。
その後、友人を介して紹介されたのがポール・マッカートニー。
ジョンはポールの声や歌い方がエルヴィスに似ていたということもあって、
メンバーとして迎えることを決めたそうです。
ポールもエルヴィス・ファンで、2年程前に発売された
「Good Rockin' Tonight −  The Legacy Of Sun Records」という
アルバムの中で、「That's All Right」を歌っています。
この曲を聴いたら、誰もがエルヴィスだと思うかもしれません。
そのぐらいデビュー当時のエルヴィスの歌い方に似ています。

私の友人がついこの間送ってくださったMDの中にも、
ビル・モンロー、ポール、エルヴィスの順に、それぞれが歌う
「Bluemoon Of Kentuckey」が、メドレーのように1曲につなぎ合わされて入っていました。
これには感動しましたね・・・ポールの解説も一緒に入っていました。
アップ・テンポになった瞬間のポールの歌い方が
エルヴィスの特徴をよく捉えていて驚きました。

自分もエルヴィスのようになりたいと思って、バンドを始めたジョンとポール。
彼らに多大な影響を与えたエルヴィスは、
まさしくジャンルを超えた偉大な「SINGER」ですが、
もしサウンド作りの天才プロデューサーと出会えていたなら、
もっと素晴らしい歌が生まれていたに違いないと思いました。


★一度でいいからエルヴィスをプロデュースしてみたかった。
そうしたらもっともっとすごい歌を残せたんじゃないかと思う。
<ジョン・レノン>