エルヴィス 〜伝説の始まり

何がエルヴィス・プレスリーにあのような歌を歌わせたか・・・
なぜ時代は「キング・オブ・ロックン・ロール」として
エルヴィス・プレスリーを選んだのだろうか・・・

思いつくまま、いくつかのポイントをあげてみた。

天から与えられた資質
  卓越した音楽の才能・鋭い感受性・抜群のリズム感・素晴らしい音感

  個性あふれる声質・よく響く千変万化する声

  恵まれたルックス(ハンサムな顔立ち+混血による神秘性)
   フランス系ノルマン人の血にスコッツ(アイリッシュ)の血が加わり、
   母方のインディアンの血が混じる。ユダヤの血も混じっているらしい。

性格
   「抑制と解放」「シャイでありながら大胆」「執着そして無頓着」など
   二つの相反する要素を感じる。
   それが思いもよらず、歌に活かされていたのではないだろうか。
    エルヴィスの歌には実にさまざまな表情がある。
   激しさ、慎み深さ、せつなさ、甘さ、明るさ、優しさ、淋しさ・・・
   多分・・・「感性の人」ではないだろうか。
   感じたものを表現したのだと思う。
   そこに計算はない。そしてインスピレーションも加わり、あのような歌を彼に歌わせた。
   
   好きな曲は何十回も延々と聴きつづけ、歌い続けたエルヴィス。
   愛するものにはとことん執着する気質だったのだろう。 
   しかし、一方で自分の健康に対する執着はまるで感じられないのである。
   
   これは私の一方的な想像だが、二つの相反する性格を持ち合わせた時、
   時々自分で自分をまとめることができず、自分はいったい何なのか、
   何を考えているのかわからなくなる時があったと思う。
   そういった時は、感じるまま、欲するままに動いてしまうものである。
   
   エルヴィスは幼い時から悪夢を見つづけ、グッスリ眠ったことが
   あまりなかったらしい。それは亡くなるまで・・・と記されていた。
   これはとても辛い事実である。
   悪夢を見るという事はいつもどこかに不安を抱えていたのだろう。
   それは幼少期の貧しい生活からくるものかもしれないし、
   2歳から3歳にかけて父親が小切手を偽造して服役したという辛い過去が
   エルヴィスに不安を抱かせたのかもしれない。
   
   栄光の蔭で、エルヴィスは常に不安や寂しさと闘っていたのである。

環境
   母親のお腹にいる時からゴスペルやカントリー、その他たくさんの音楽を聴いていた。
   生まれてからは毎日のようにラジオから流れてくる、
   ブルース・カントリー・ポップ・黒人ゴスペル・R&Bを聴く。
   母親は美声の持ち主だったらしい。いつも家族で歌を歌っていた。 
   貧困な家庭に生まれたため、居住区が黒人地区に隣接し、
   黒人音楽が自然な形で耳に入ってきた。
   母親がペンテコスト派の熱心な信者で、毎週日曜日、教会に通う。
   時には平日の夕方などにもバスに乗って黒人の教会へ足を運んだ事もあるそうだ。
   母親は教会に救いを求めた。
   そして、その母親といつも行動を共にしていたのがエルヴィスである。
   
  「4歳か5歳のときに、僕が楽しみにしていたのは日曜日だった。
    みんなで教会に行く日だからさ。これが僕の受けた唯一の歌の訓練なんだ。」 
    <エルヴィス・プレスリー>

出会い
  優れた黒人音楽を聴かせるために「サン・レコード」を設立したサム・フィリップスは、
  時代の流れを敏感に感じとっていた。  
  彼は「黒人のように歌える白人」を探していた。
  
  その彼が作ったもう一つの機関が「メンフィス・レコーディング・サーヴィス」
  趣旨は「わたしたちは何でも、どこでも、いつでも録音します。片面3ドル、両面4ドル」
  というものである。  
  ある夏の日、18歳の白人青年が、なけなしのお金・4ドルをにぎりしめ、自分の歌を
  録音するためにギターを抱えて登場する。
  ・・・エルヴィスだった。

  こうして伝説がはじまるのである。